宇宙の開闢も、今回の自己の人生の始まりも、今日の始まりも、たった今の始まりも、すべてが常に「イザ！」という理屈抜きの意気込みから始まっているのです。
このことを、伊邪那岐神（いざなぎのかみ）・伊邪那美神（いざなみのかみ）という名で表現しています。

どんなに論理哲学を駆使して考えようが、この【いのち】の意気込みを忘れて除外してしまったなら、自分の人生やこの世界が一体何であるのか、ほとんど分からなくなってしまうでしょう。
万物の原点、万物の根本の【いのち】の意気込みに意識を戻すことが、全てをシンプルに理解できる早道なのです。
素晴らしき満ち足りた人生の人生たるには、この意気込みを要するわけなのです。

一口に意気込みと言いましても、やたらと意気込んでやみくもに動きまわったり、手当たりしだいに何かをすることではありません。
朝、目が覚めて、言うに言われぬ美しい気分になって「おはよう！」「おはよう！」と言い合いながら、お互いが一心同体のように打ちとけあって、一日の行動を開始するという真善美愛化された意気込みであるはずなのです。

もし、朝の気分が悪いなら、昨晩眠る前に、その日の全ての事柄を受け入れておらず、満ち足りた気持ちで眠りに入れなかったからです。
夜になると、夜有国（根の国）へ眠りに入り、何もかもが平らかに安らかになってしまえるはずなのです。

【いのち】というものは、一方から言えば、記憶という過去の土台があるから今の【いのち】があり、記憶という過去によって今の【いのち】が支えられている半面、逆に過去を忘れることによって、なおいっそう今の【いのち】は輝くものなのです。
　
弥栄（イヤサカ）とは、大切な根本としての【いのち】のことだけを記憶すると同時に、【いのち】に無益な雑事や枝葉の記憶をできるだけ手放すことにあるのです。
【いのち】の意気込みの発動となる材料や、すばらしきこと、全員に理想的なことは忘れず、つまらぬ事柄は一旦受け入れて忘れてしまうことが、【いのち】が繁栄するための大切な要素です。

【速佐須良姫神（はやすさらひめのかみ）】という神が、無益で有害な記憶をことごとく消し去って下さるので、「明日に持ち越さないぞ」と決めて、あとは神の作用にゆだねて下されば宜しいかと思います。