合気道の「入り身」
人が成長していく過程において、
立つ・歩く・話すなどの動きは自然に現れてきます。
それは、個人的な
「選択」や「意図」を超えています。
例えば、赤ちゃんが
「僕は立ちたくないんだ!」と意図して、ずっとハイハイのままでいくということは有り得ないのです(笑)。
赤ちゃんは「素直」のあらわれそのものですから、
天地と同調できており、
その「無我」のおかげで
自然とシンクロして、すくすく進化発展できるのです。
でも、ある段階から
自然な進化発展がストップします。
どういうことかと言いますと、
心理的・感情的・社会的な機能の発達が、
人工的に(大人の我によって)
妨害されたり、傷つけられるからです。
やんちゃ坊主であるべきときに、
やんちゃをさせてもらえないとか、
やりたいように
させてもらえないとか、
やりたくないのに
やらされるといったような
バイオレンスが介入し、
そのせいで、ある種の体験が「未完」のままになります。
と同時に
戦略としての「性格」の型が生じていきます。
バイオレンスによって、
体験するはずだった体験が「未完」のままであれば、
そこで自然な進化は
ストップすることになります。
ですから、
通常の成長過程で
「起こるはず」だったにもかかわらず
「起こりえなかった」体験を、
あらためて「今ここ」へ許可して【融合する】ことができれば、
再び進化が
自然にスタートし始めます。
意識上で許可することによって、
幼少期の「未完」の体験を、今の大人の体験として現す必要がなくなります。
例えば私の場合、幼少期から
「持ち物への自然な欲求」を抑え込まれました。
ランドセルや体操着というような
最低限の必需品でさえ、
劣悪で安価なものしか
買ってもらえなかったために、
「性格」の型としては
聞き分けがいい「忍耐・我慢」の子になるわけです。
そのまま年月が過ぎて
大人になるから、
「未完」の体験を
完了させようとして、やたら物欲が強くなります。
ただ、無意識レベルでは
あいかわらず忍耐・我慢という「性格」が働くため、
本当に欲しいものが
目前に来ても、強くストップがかかるのです。
それどころか、
「物」に罪はナイのに、「敵意」や「攻撃の心」さえ抱くようになりました。
人は物欲に
苦しむのではなく、
「未完」の体験に対する
性格的な葛藤で苦しむわけです。
ありがたいことに、
その不自然さを指摘して下さった人がありましたので、
さっそく自分に(意識上で)
「もう好きなようにしていいよ!」と、物欲への許可を降ろした瞬間、
その物欲が
ガクーンと激減したのです。
合気道には
「入り身」と呼ばれる動きがあります。
それは何かと言いますと、
「向かってくるものの方へ
(愛で)向かっていく」
という動きです。
こちらへ向かってくるものに
「敵対」せず、「攻撃」せず、
その「真っただ中」へ
入り込むこと(entering)を「入り身」と言います。
「入り身」のテクニックとしては、
向かってくるものが、
(私のように)物であれ、
色々な出来事であれ、
攻撃やその場の状況の
「真っただ中・核心」へと直接入っていくことなのです。
このように、
入り込んでいくという動きは、
こちらに向かってくる「対象」と
溶け合っていくために行われますので、
それに逆らうことも、
反撃することもしません。
まさに
ノン・バイオレンスなのです。
たとえ、向かってくるものが
実際の攻撃者であれ、言葉の攻撃であれ、
そのエネルギーのほうへと
「入り身」するのです。これが受容、統合、融合です。
このようにして「未完」の体験は、
「今ここ」に融合され、ようやく完了していきます。
そして、生体戦略としての
「性格」の型も不要になって、昇華していきます。
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